2016年9月20日火曜日

イリュージョン

晴れている。
明るくなるにつれ暖かくなってきたが、暗いうちは寒かった。
朝風呂でしのぐ。

身体と心をだましだまし快適に動く工夫を続ける。
季節が変わっても原則は同じ。
わんこらも毛布とクーリングボードをうまく使い分けている。

先日読んだ動物行動学者日高敏隆氏の「生物はイリュージョンで生きる」という言葉を思い出す。
ニワトリは、ヒナの鳴き声で危険や助けを察知してかけつける。
ヒナをガラス瓶の中に入れて、鳴き声が聞こえないようにすると、ヒナが瓶の中でいくら助けを求めるような動きを見せても、親はまったく反応しないという。
ニワトリにとって、ヒナの鳴き声がレスキューコールのリアリティであって、その他の刺激は導きの糸にはならない。

人も似ている。
理屈、イデオロギー、宗教、嗜好その他ニワトリの鳴き声に相当するイリュージョンに反応して動く。
このことは、日高氏のような動物学者だけでなく、吉本隆明氏のような思想家や岸田秀氏のような精神分析論学者が共同幻想論として論じている。

ところで、イリュージョンというと、大仕掛けの奇術のことも指す。
上手な奇術は、楽しいエンタテインメントで、だまされてわくわくする。
ひとは、承知で騙されて喜ぶ性癖も持っている。

政治や経済、軍事や日常生活にも、イリュージョンに満ちている。
気が付けば、怖気づいたり、狂気に近づいて己が潰えてしまう状況でも、イリュージョンに助けられてながらえられることもままある。
もちろん、思い込みや精神主義で乗り越えられることばかりではなく、厳然とした因果の流れでポシャるケースも多い。

そのあわいを考えながら、玉ねぎの皮剥きに励んでいる。

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