2017年2月1日水曜日

深夜食堂と孤独のグルメ、そして刑務所の中で

共通するのは、個性派俳優の松重豊さんである。

深夜食堂では、九州の高校球児出身で今は新宿の地回りに転じたヤクザの龍ちゃんだ。
オカマバーのマスターに惚れられたり、敵対する組の鉄砲玉に刺されたり、高校時代の野球部の女性マネージャーの末期を見舞ったり、朴訥ながら存在感の大きいバイプレイヤーを演じている。

孤独のグルメでは、主人公として、各地のグルメサイトを回る。
主人公のコーディネーターとしての仕事で、物語は一話一話ふくらんでいく。
朴訥は深夜食堂と似てはいても、心象風景は饒舌だ。

そして、「刑務所の中」では、腕に「仁議」とゴンベン付きの刺青を彫ってしまった模範囚である。
この作品は、漫画家の花輪和一さんの銃刀法違反をめぐって下獄した話のセミノンフィクションだから、同房に一緒にいた実在の人物かもしれない。
深夜食堂も孤独のグルメも食をめぐる秀作だが、刑務所の中も同じだ。
健康食が日々serveされる様子が半端なく描かれる。

自分はスレスレで下獄をまぬがれ、シャバで泳がせてもらっているが、紙一重の刑務所的生活は、塀の中も塀の外もさして変わらぬものと思っている。
そういう人間にとって、この三作はよい教科書である。
定期的に回して味わっている。

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