2017年2月8日水曜日

帰って来たヒトラー

風刺小説の映画化で、実にスラプスティックであるが、、、、実はかなりactualである。

1945年に自殺したはずのヒトラーが、ベルリンの空き地で目を覚ます。
2011年にタイムスリップしたことに気付いたヒトラーは、キオスクのバイトから映画製作会社にスカウトされ、InternetやWikipediaで今の世界を知り、活動を広げていく。

映画では、実際にネオナチや移民問題の現場に、総統の姿で登場し、今のドイツ、ヨーロッパを活写する。
物語そのものでもネオナチにドイツを揶揄するものと襲撃されるが、撮影でも同様に揉めたあげくに共感もされ杯を重ねたという。
つまりは、ベルリン陥落時と現在の位相差、及び共通性がこの作品の不思議な魅力となっている。

メルケル氏の偽善が、現在のドイツのこの両面性を生んでいるが、これもトランプ政権の誕生やブレグジット等々で厳しい現実にさらされるだろう。

とかくトランプ氏は、ヒトラーになぞらえられるが、ある意味で逆である。
歴代の米大統領が、国際主義の美名の下で実際は帝国主義的アメリカファーストを貫こうとしてきたのに比し、トランプ氏はinnerなAmerica firstを貫こうとしている。
もちろん、中国の崩壊に合わせて対応を取らざるを得ないのは、オバマだトランプだという前に、米国政治体制の中核思想で、マチスさんなどそのために東奔西走しているわけだが、そういった戦乱含みの話とはちょっと違った味が「帰って来たヒトラー」にはある。
何かといえば、国民の口を糊すということである。
有効需要政策は、ケインズの時代からマクロ経済の肝だが、ヒトラーも、米国も、安倍晋三氏も、プーチン氏も、習近平氏も、刈り上げ氏も、国民の食い扶持を提供できなければ持たない。
総統の口から、ベースは国民をどう喰わせるかの基本思想が語られる。

また、いまやpost factの時代といえど、マスコミのマスゴミ性は、ネット時代に顕著であり、「帰って来たヒトラー」のテーマの一つとみていいだろう。

なんにせよ、面白いお薦め映画ではある。

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